「弁護士へ相談する」
これは離婚を考える人にとって非常に大きな一歩です。
弁護士への初めての相談は大抵、30分から1時間程度。
相談料は1時間で6,000円~10,000円程度のことが多いですね。
せっかく相談へ出向くのですから、相談前にある程度の準備をしておくことで、限られた時間内で効率よく話をすることができ、双方にとって有意義な時間となるはずです。
今回は「初めて弁護士へ離婚相談をするとき、事前に準備しておくといいこと」についてお話します。
目次
事前にまとめておきたい情報
離婚原因
「どうして離婚を考えるに至ったのか」という理由と、あればその証拠もまとめておきましょう。
例1)相手が不倫をした場合
- 不倫相手の名前
- 不倫相手の勤務先、家族構成など
- 不倫の証拠類(写真、探偵の報告書、手紙など)
例2)暴力をふるわれた場合
- 暴力を受けた日時、状況のメモ
- 暴行を受けた傷や痣の写真
- 診断書など
相談後、実際に依頼するとなった場合は弁護士の指示に従って実際にいろいろと集めることになりますが、相談の段階では「今手元にある範囲」のもので十分です。
離婚に際して相手に求めたいもの
離婚の際、「ここだけは譲れない」というラインがあれば、それも弁護士に伝えましょう。
多少わがままかも、と思っても、言うだけなら問題ありません。
まずは気持ちを全部吐き出して、弁護士と一緒にそれが現実的に実現可能かどうか考えていけばいいのです。
例)
- 不倫相手から慰謝料を取りたい
- 親権は絶対に相手に取られたくない
- 子どもの養育費を確実に受け取れるようにしたい
- 親権は相手に渡してもいいが、定期的な面会はしたい
- 離婚成立までの間、生活費はきちんと出して欲しい
相手の状況
今後相手と交渉していくにあたり、相手の状況も可能な限り把握しておく必要があります。
下記のような情報があれば、こちらもまとめておきましょう。
例)
- 現在、相手と同居しているのか別居中か
- 別居中の場合、別居を始めた時期ときっかけ
- 別居中の場合、連絡先や住所はわかっているか
- 相手の給与の支払先は把握しているか(差押などに備えて)
- 暴力などをふるうタイプか(交渉の際の参考になります)
双方の財産について
慰謝料や財産分与、養育費などの算定のため、双方の財産についての資料を持参すると参考になるでしょう。
例)
- 通帳類
- 給与明細
- 保険証券
- 不動産登記簿 など
相談の段階であれば、原本ではなくコピー、もしくはおおよその金額のメモでも問題ありません。
その他持って行った方がいいもの
戸籍謄本
結婚している事実や子どもの有無などの確認のため、「相談時に持ってきてください」と指示されることがあります。
「相談の段階なのでわざわざ持ってこなくてもいい」という考えの弁護士もいますので、事前に確認しておくといいでしょう。
認め印
相談の結果、弁護士に依頼することになった場合、委任契約書などに押印する必要があります。
持って行って損はないでしょう。
聞きたいことメモ
たいていの人にとって「弁護士への相談」は非日常。
そんな状態で緊張して話をすると、相談後自宅に戻ってから「ああ!あのことについて聞くの忘れた…!」となることもあります。
それを防ぐため、「弁護士に聞きたいことリスト」をあらかじめ作っておきましょう。
弁護士への相談時の注意点
聞かれたことには素直に答えること
たとえば「自分が不倫をしたのが理由で相手に離婚を求められている」など、自分が不利になるような情報はあまり話したくない気持ちは十分にわかります。
しかし、弁護士は正しい情報を得て、それを元に法律的な判断を下し、アドバイスをするのが仕事。
聞かれたことにはきちんと答え、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
隠し事はもちろんダメですし、嘘をつくなんてもってのほかです。
弁護士には「守秘義務」がありますから、そこから秘密が漏れることはありません。
安心して事実を話してくださいね。
弁護士費用のことは細かく確認しておくこと
「弁護士費用」と一言で言っても、着手金や報酬金、預かり金など、種類もいろいろでわかりにくいものです。
相談の結果、弁護士に依頼をすることになったのなら、弁護士費用について、細かい点まできちんと確認するようにしましょう。
費用について曖昧なまま依頼をしてしまい、実際に弁護士費用の請求が来たときに「こんなはずじゃない!」となってしまうことを防ぐためです。
弁護士費用は依頼する弁護士によって大きく異なりますが、ひとつの目安としては下記のとおりです。
着手金:20~50万円
報酬金:20~50万円 + 経済的利益(回収した慰謝料など)の10%~
その他:調停や裁判に際して必要な経費(郵便切手代・印紙代等 数万円)
ただしあくまでもこれは目安。
弁護士によって設定している金額は異なりますから、実際に依頼するときは弁護士にきちんと確認してくださいね。
まとめ
勇気を出して弁護士事務所の門を叩くのですから、効率よくいろいろと聞きたいですよね。
可能な範囲で上記のような準備や心構えをしておくと、
何も準備せずふらっと行く場合に比べ、
弁護士から得られる情報の質がぐんとあがります。
弁護士はリスクや不利益も含めて相談者に伝えるのが仕事ですから、
もしかするとあなたの期待とは違ったアドバイスをされるかもしれません。
それもひとつの専門家の意見として受け止め、今後の参考にできるといいですね。
「弁護士」と聞くとなんとなく敷居が高いように感じるかもしれませんが、実際は頼りになる専門家であり、ひとりの人間です。
怖がったり、萎縮したりする必要はありません。
気負わず、しかしできる範囲で準備は万端にして、弁護士事務所へ出かけましょう!