パートナーとの離婚を思い立ち、相手と話し合い、夫婦2人の間で手続をすべて済ませて離婚する…
そのようにスマートに行動に移せる人はほとんどいません。
離婚は単に「一緒に住んでいた二人が別居する」というだけではありませんから、いろいろな手続や取り決めなどを行う必要があります。
子どもがいるのであれば親権や養育費について。
夫婦どちらかが不貞などを行った結果の離婚であれば、慰謝料について。
連れ添って一緒に築いた財産があるのなら、財産分与について。
決めることは思いのほか多く、たいていの場合は2人ですべて決めるのは難しいものです。
そんなとき、どのような場所で相談したらいいのでしょうか。
それぞれの特徴などをまとめました。
■裁判所
「離婚の条件で相手と揉めている。もうイヤだ、裁判だ!」
そう思って裁判所に乗り込む人も多いのですが、残念ながら裁判所は「離婚の相談」には乗ってくれません。
裁判所はあくまでも「持ち込まれた紛争を中立的な立場で判断する」場所ですから、どちらか一方の言い分だけを聞き、その人が有利になるようなアドバイスはできないのです。
裁判所が教えてくれるのは
- 裁判所で行える手続にはどのようなものがあるか
- 調停などの申立書類の書き方
- 必要経費や納入方法
など、一般的な内容です。
逆に言うと、上記のような内容は無料で丁寧に教えてもらえますから、
「離婚をしたいが相手が納得してくれないので調停の中で話をしたい」
とすでに心に決めている場合は、ぜひ裁判所でいろいろ聞いてみるといいでしょう。
なお、離婚関係を扱うのは「家庭裁判所」です。
まずは自分が住んでいる地域の家庭裁判所に電話をかけて、事情を説明してみてください。
■弁護士
弁護士は言うまでもなく法律の専門家。
- 今自分の置かれている状況で、法律的に離婚を請求できるか/拒否できるか
- 相手から請求されている/相手へ請求したいと思っている慰謝料や養育費が適切な金額か
- 別居のタイミングについて
など、裁判所とは違い、相談者の立場に立った具体的な法律上のアドバイスをしてくれます。
また、相談から一歩進んで実際に弁護士に依頼をすると、弁護士は依頼者の「代理人」となって、もう一方と代わりに交渉を行うことができます。
離婚調停や離婚裁判に発展したときも、自分の代わりに裁判所へ行ってくれます。
これが弁護士の大きな特徴です。
弁護士へ相談する場合は相談料が必要ですが(1時間あたり6,000円~10,000円程度)
最近は「初回の相談は無料」という事務所もありますし、
そうでなくとも収入によっては「法テラス」の無料法律相談を利用できる場合もあります。
また、実際に依頼するとなると弁護士費用が別途必要です。
- 着手金:20万~50万前後
- 報酬金:20万~50万前後 + 経済的利益の額(慰謝料を得たなどの場合)
上記が一般的な費用ですが、弁護士や案件の難易度などによって大きく変わりますから、相談の時にきちんと確認しておきましょう。
どの弁護士に相談したらいいかわからない、という場合は、住んでいる地域の「弁護士会」に聞いてみるといいでしょう。
■行政書士・司法書士
離婚の相談を受け付けている行政書士や司法書士も多いのですが、行政書士や司法書士に依頼できるのは基本的に「書類の作成」である点に注意しましょう。
既に離婚の条件が夫婦間でしっかりと決まっていて、
「あとは書類を作成するだけ」という状態であれば大丈夫。
書類作成費用も、弁護士へ依頼したときの弁護士費用と比べれば安価で、
書類作成だけであれば数万円程度のことがほとんどです。
ただし、行政書士も司法書士も、弁護士とは違い、依頼者に代わって相手と交渉したり調停や裁判へ行ったりすることはできない、という点には注意が必要です。
たとえば書類の作成に際して夫婦間で揉め事が発生してしまった場合、行政書士や司法書士はそれ以上の仲裁や交渉などは基本的に行えませんので、「内容が決まったらまた連絡してください」という形で中断してしまうこともあります。
弁護士も書類の作成は行っていますから、少しでも揉めそうな気配がある場合、最初から弁護士へ相談したほうが手間が少なくて済むかもしれません。
■市役所などの公共機関
弁護士や行政書士・司法書士などに直接連絡を取るのはちょっとハードルが高くて躊躇してしまう…
そんな時は、自分の住んでいる自治体の広報などをチェックしてみましょう。
弁護士などが出張してくる「無料市民相談会」が市町村や都道府県で定期的に開催されていますので、まずはそれに出向いてみてはいかがでしょうか。
連絡先も弁護士の事務所ではなく自治体の窓口であることが多いので、気が楽ですよ。
ただし、そのような相談会は時間が短く区切られていることが多いので、
じっくり話をしたいのであれば相談担当の弁護士の連絡先を聞き、
後日改めて相談へ行く、という形になるかもしれません。
また、18歳未満の子どもが関わることであれば「児童相談所」、
配偶者からの暴力で困っている妻の相談であれば都道府県の「女性センター」や「男女共同参画センター」などでも相談を受け付けてもらえます。
自治体の広報やホームページなどに情報が載っていますから、気になる場合はぜひ一度調べてみましょう。
■まとめ
離婚には非常に多くのエネルギーが必要です。
特に相手と条件が折り合わなかったり、経済的な問題があったりすると、心配事は尽きないもの。
離婚のことばかり考えているとどうしても視野が狭くなりがちですが、この広い世界、あなたの味方は必ずいます。
少しでも離婚について不安があったら、まずはどこかの窓口に相談の電話をして、心配事を吐き出してみてください。
道が少しずつ開けてくるはずですよ。
未来への第一歩を「相談の電話」で踏み出してみましょう。